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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

かりがねにとろりと眠る石つころ 松澤昭
かりがねに乳はる酒肆の婢ありけり 飯田蛇笏
かりがねのしづかさをへだてへだて啼く 桂信子
かりがねや並べば低き母の肩 赤城さかえ
かりがねや山の水曳くめし処 奥山甲子男
かりがねや手足つめたきままねむる 桂信子
かりがねや母恋う姉は子無きまま 島田慶子
かりがねや海に出て行く隅田川 星野昌彦
かりがねや生死はいつも湯が滾(たぎ)り 藤田湘子
かりがねや送るとは立ち尽くすこと 伊藤政美
さびしさを日日のいのちぞ雁わたる 橋本多佳子
ぜいたくなかりがねの道月の巣へ 矢野千代子
また別の瞳が追うてゆく雁の空 相本寿美子
まだ聞こえねど後続の雁のこゑ 山口誓子
みな大き袋を負へり雁渡る 西東三鬼
わが夢にきらめく雁の泪かな 眞鍋呉夫
トランクはヴィトン家出は雁の頃 竹岡一郎
ラの音の鳴らぬハモニカ雁渡る 水口圭子
一枚の空に鴈ある絹の道 角川春樹
一生のこの時のこの雁渡る 上野泰
一雁の列をそれたる羽音かな 能村登四郎
中天に雁生きものの声を出す 桂信子
人格は五大陸なり雁行す 山本敏倖
人等臥て雁のぬくみが空をゆく 桂信子
仏壇を閉ぢれば闇や雁の声 岸本由香
全景は一幅の黄泉雁渡る 島田節子
初雁のまぎれなかれし夜の雨 軽部烏頭子
初雁やその場に立ちてひらてみき 加藤郁乎
初雁や銀短冊の五六枚 野村喜舟
古九谷の深むらさきも雁の頃 細見綾子
噛みしめて深川飯も雁のころ 小檜山繁子
妻抱いて躬の証したつ雁の夜 吉田未灰
惻々と厚雲よりの雁の聲 目迫秩父
柩とはひきつぐことか雁渡る 高橋比呂子
流木の傷癒やしてる雁の声 榎本嵯督有
漁火に離れ黒雁浮寝かな 佐藤宣子
琴柱置く雁行く群のそのままに 河野多希女
矮星の終焉真雁塒入り 石母田星人
翔ち惑ふ雁あり朝の靄濃きに 佐怒賀正美
老仕度あるに雁くる沼に佇つ 石原君代
聲なき雁轉校書類封じをり 能村登四郎
膝抱いてあしたを思ふ雁のこゑ 長田美恵子
芭蕉高し雁列に日のありどころ 原石鼎
落雁や不可視の峰に手をついて 信藤詔子
葛飾や一弟子われに雁わたる 藤田湘子
虹渡る雁紅き眸を持てり 雨村敏子
街昏れて雁わたる空のこしおく 桂信子
金獲たり本の神田の雁高し 松崎鉄之介
雁が来る同姓村の絵ろうそく 舘岡誠二
雁が音や姑の遺した湿布薬 舘岡誠二
   
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