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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

ありしことみな陽炎のうへのこと 照井翠
かぎろいの藤家の桜密ならず 中井不二男
かぎろひて揺れ立つさまの端龍寺 松本詩葉子
かげろうという感情の町へゆく 高岡修
かげろうに妻奪われて急ぐなり 前田吐実男
かげろうに騙されていて愉快なり 本田博子
かげろうの胎児は今も2B 山本敏倖
かげろえる川面に悩みを捨てようか 藤原紫華女
かげろふが人体模型に血を流す 國定義明
かげろふと遊び真実ひとりなる 関礼子
かげろふの中へ婚の荷運ばるる 荒川勢津子
かげろふの中花売りも人売りも 遠山陽子
かげろふやバターの匂ひして唇 小澤實
かげろふや球形タンク転げ出る 本杉康寿
かげろふを二階にはこび女とす 加藤郁乎
かげろふを川向うから来て坐る 鴇田智哉
かげろへる中にゐるから山頭火 梅原昭男
きらきらと水陽炎や経流し 中村和徳
ことりと母家中に陽炎が 森田緑郎
この世から水かげろふに加はりぬ 柿本多映
バックミラーに搖れる陽炎さようなら 川井順子
休む船腹水陽炎の巣となりぬ 中村和弘
原爆地子がかげろふに消えゆけり 石原八束
太鼓打つ少年足から陽炎えり 笹岡素子
専守防衛陽炎が足障り 小豆澤裕子
己れ消さむとかげろふの渦に入る 吉田未灰
幽すいにたらふくなつてかげろへる 松澤昭
後頭の瘤ふと大きくなる薄陽炎 和田悟朗
忽(こつ)とさら地陽炎を祀りけり 森田緑郎
急坂に都電の記憶陽炎へる 山尾かづひろ
意地悪な少女三人陽炎える 西村安見子
曳き船の後ろ陽炎ふ豪華船 伊藤保子
朕といふかげろふの島身のうちに 田村みどり
次の駅見ゆる江ノ電陽炎へる 原田要三
死にそびれ糸遊はいと遊ぶかな 中村苑子
死者・生者指紋のすべてかげろうに 谷川彰啓
爆心地の陽炎 わらいわらい還る 永井徹寒
父を思うて陽炎のおもさかな 行川行人
着飾りて水陽炎の中にゐる 柿本多映
空襲の夜を知る川ぞ陽炎へる 浅井多紀
精霊の宿りしや水陽炎える 竹中芳羊
糸遊がでこぼこ道を渡っていった 蓮見徳郎
糸遊に向かうしかなき或る日かな 今井真子
糸遊に腰掛けてゐる余生かな 羽鳥たま江
糸遊の灯台廃船を曳く 橋本直
糸遊の空紡ぎいる観覧車 内田牧人
結界を抜けだす一歩かげろえり 越智無蓋子
自動ドアぬけ陽炎に身を容れる 村上子陽
虚空より遊糸到れり漆の木 沼尻巳津子
被災地の鴉したたか陽炎へり 國定義明
   
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