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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

うすらいや母の歳月通りゃんせ 稲葉茜
うすらひにだれ漕ぎだして行つたやら 松澤昭
うすらひは深山へかへる花の如 藤田湘子
うすらひや幽鬼の館朽ちて映る 佐怒賀正美
うすらひや息づかひはた翅づかひ 岸本由香
さらば少年薄氷高く日へ投じ 恩田侑布子
せりせりと薄氷(うすらひ)杖のなすままに 山口誓子
たわたわと薄氷に乗る鴨の脚 松村蒼石
どこからが晩年どこまでが薄氷 白石司子
ひとむかしふたむかしとてうすらひぬ 松澤昭
ひとりなり我も川面の薄氷も 宮本八奈
吾を置きて老いゆく夫や薄氷 上原富子
吾在りて泛ぶ薄氷聲なき野 佐藤鬼房
太陽に薄氷の音重なりぬ 久保純夫
手をつなぐため薄氷を壊すかな 塩野谷仁
抗うて風の容ちになる薄氷 長井寛
日さしくる春の氷に手をかざし 高島茂
水口の奥やうすらひきらきらす 三浦百合子
熱の掌に沢蟹沢の薄氷 栗林千津
笛の音のような薄氷を掬えり 田中いすず
薄氷と遊んで居れば肉体なる 永田耕衣
薄氷に一部始終を見透かさる 宮川としを
薄氷に憲法九条乗っていし 味元昭次
薄氷に根のやうな隙ありにけり 市川葉
薄氷に石置く遊びして老いて 味元昭次
薄氷のたちまち老いのはじまれり 渡辺誠一郎
薄氷のはたりはたりと風越える 千葉信子
薄氷の下を激しく流れけり 松下カロ
薄氷の夕影にありわが陸奥 中村孝史
薄氷の完璧いじめられやすき 清水東洋子
薄氷の育つ絹糸はじくたび 荒川美邦
薄氷の草を離るゝ汀かな 高浜虚子
薄氷の裏から見ゆるははの影 大谷房代
薄氷の裏を舐めては金魚沈む 西東三鬼
薄氷ふんで自衛隊が帰ってきた 長岡幸子
薄氷やにんげん降りる駅一つ 蔦悦子
薄氷やふたりで遠くゆくあそび 鳴戸奈菜
薄氷や心の奥の襞に似て 池田暎子
薄氷や我を出で入る美少年 永田耕衣
薄氷や母校にのこる一揆の書 吉田鴻司
薄氷や毎日同じお辞儀して 前田弘
薄氷や私というひとりの他人 白石司子
薄氷ゆつくりともの忘れゆく 伊藤政美
薄氷をかざして遠き昭和かな 星野昌彦
薄氷をたたき割りたる山の雨 大串章
薄氷を壊して今日の来たりけり 前川弘明
薄氷を踏みて失恋とはちがう 花房八重子
薄氷を踏みて或る日の夕景色 桂信子
薄氷を踏みて正座の中にいる 深谷友香
薄氷を踏みに戻りし少女かな 藤本悦子
   
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