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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

あかねさす海鼠の夢の中までも 吉田啓郷
いろんなことがありまして海鼠です 樽谷俊彦
そこだけに日暮れ来てをり海鼠桶 小泉恭子
たくさんの無駄を挑発する海鼠 松井国央
まだ背負う昭和の重石海鼠噛む 松岡耕作
まないたの海鼠どこから叩こうか 千葉信子
われよりも年寄る海鼠食ひにけり 矢島渚男
元サヨク今おばさんのなまこかな 朝日彩湖
哲学の過ぎて海鼠となりにけり 菅章江
坂東の血が酢海鼠を嫌ふなり 藤田湘子
夢殿へこのわたは酢をもられけり 上窪青樹
寒海鼠ごろり熟女の床体操 霧野萬地郎
心臓と同じくらゐの海鼠かな 石原八束
息ひとつ吐いてなまこの放下かな 内田秀子
悪地もなやむなまこのごとき火の鉄片 赤尾兜子
死んでゐる以外は生きてゐる海鼠 岡田一実
沖の石のひそかに産みし海鼠かな 野村喜舟
泪目の海鼠増やして琉球弧 宮里晄
海鼠のゆらぎ輪廻の中に見てゐたり 中尾和夫
海鼠切つて太古の水をあふれしむ 仲寒蟬
海鼠切りもとの形に寄せてある 小原啄葉
海鼠突くいざなぎいざなみ皇系論 佐々木英子
海鼠突く銛を持たせてくれたるよ 小澤實
海鼠食ひ海鼠の如く眠りけり 三好一空
煮えきらぬ性の海鼠を見てゐたり 大牧広
甲乙もなくて海鼠は桶の中 岩淵喜代子
目に見えぬ敵に向ひて海鼠食ふ 本多豊明
眠らずに海鼠となりて錆びはじむ 渡邊文子
肉角を緊めてかなしき海鼠かな 高島茂
肥大心臓透き領海の海鼠喰う 大中祥生
衆道や酢味の淡くて酢海鼠の 金原まさ子
酢海鼠に水漬く屍の味がある 安西篤
酢海鼠に金輪際の箸の先 宇多喜代子
酢海鼠や投句用紙のはし袋 下田恭子
階段が無くて海鼠の日暮かな 橋閒石
雪が降る海鼠に靨(えくぼ)ちらちらちら 金原まさ子
馥郁たる死とすれちがう海鼠かな 谷山花猿