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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

あめっこ市林火に買いたき咳あめも 古沢太穂
うたた寝や妻と交互に咳をして 山本小品
せきをしてもひとり 尾崎放哉
ひとり咳きふたり咳き親鸞に弄ばれ 三浦亨
ふるさとはひとりの咳のあとの闇 飯田龍太
ウィルスの戯れ言が咳まだ死ねぬ 有田裕子
コンクリートは安心であるコンと咳く 前原蟻子
ダリの青キリコの赤と咳けり 四ッ谷龍
代々木踏切越す老優と咳落し 古沢太穂
叱咤せんとして咳入りてしまひしか 八木絵馬
咄家の筋書に無き咳こぼす 木場田秀俊
咳いくつ用事急ぎて町を背に 渋谷清秋
咳いて拈華微笑の椅子さがす 久行保徳
咳がやまない背中をたたく手がない 種田山頭火
咳き込むや遠くに星が壊れいて 山上康子
咳き込めば我火の玉のごとくなり 川端茅舎
咳くたびに縄とびの縄闇を来る 神田ひろみ
咳くやポケットに電子辞書と鍵 大嶋邦子
咳こめば 影も 咳こむ 佐藤海史
咳に覚む夢好色にして恙なし 鈴木詮子
咳のあと喉飴香りつつ溶ける 鈴木典子
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや 中村汀女
咳をしても一人 尾崎放哉
咳込んで剥製の眼を拾いけり 跡治順子
夕闇に父のしはぶき聞きゐたり 荒川邦衛
大熊座咳のひとつを通しけり 金井衆三
女人咳きわれ咳つれてゆかりなし 下村槐太
女咳き電柱の飢えつづくなり 杉本雷造
小人でも飛び出すやうな妻の咳 藤井健治
平和遠し春の蟆子をば咳きてはく 佐藤鬼房
挨拶のつまりし言葉咳で継ぐ 田辺一也
接吻もて映画は閉ぢぬ咳満ち満つ 石田波郷
木のすだま草のすだまや咳こんこん 市川葉
絶えがたし冬の歯医者が咳をする 村井和一
階段の窪みに落とす咳ひとつ 垂井道夫
鴉の咳ごとに嬰児の首洗う 赤尾兜子